大判例

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東京高等裁判所 昭和51年(行ケ)105号 判決

事実及び理由

審決取消事由の有無について判断する。

(一)  原告主張の1について

1  本願考案は、数字車に施した数字が見易くなるよう拡大化作用を性質としてもつ円柱レンズを数字車に対向配置し、さらに母線方向にはレンズ作用がなく、母線と直角方向にのみレンズ作用があるという円柱レンズの性質を利用して数字車に施す数字を円柱レンズを通して見た場合に見易い数字になるよう縦幅に比して横幅の広い字体を選定し、もつて表示数字の見易さという点を犠牲にしないで数字表示装置の小型化を図かろうとして、本願考案の要旨記載のような具体的構成をとつたものであることは、当事者間に争いがない。

2  ところで、原告は、引用例のものは装飾的効果を目的とするものであつて、表示体に施こされた数字を拡大して見易くするという技術思想は示されていない旨主張する。しかしながら、原告主張のような写真であることについて当事者間に争いがない甲第三号証によれば、引用例の円筒状表示体では幅の広い複数の横線が表示部の大部分を占めていて、周波数表示用の数字はそのごく一部分を占めるだけであり、しかも縦横比がごく普通の字体であることが認められるとはいえ、引用例においても数字を施した表示体の前面に円柱レンズを対向配置している以上、表示体に施した数字が円柱レンズの母線と直角の方向に拡大されて見える効果が生ずることは見易い道理であり、装飾的効果を高める効果しか生じないものとは認められない。

3  原告はまた、引用例においては、円柱レンズを通して観察した場合に見易いよう表示体に施す数字を縦幅に比して横幅の広い字体にするという技術思想は全く示唆されていない旨主張し、引用例にそのような構成が示されていないことは被告も認めて争わないところである。しかしながら、円柱レンズはその母線方向にレンズ作用がなく母線と直角の方向にのみレンズ作用があるという性質を有することが本願考察の出願当時周知されていた(この点は当事者間に争いがない)以上、円柱レンズを通して観察した場合に見易い字体になるよう表示体に施す数字を縦幅に比し横幅を広くした字体を選定し、見易さを犠牲にしないで装置の小型化をはかること自体は、たとえ示唆されるところがなくても、当業者ならば適宜自由に選択し得る常識的処置ということができる。

(二)  原告の主張2について

本願考案が、数字車に施された数字を見易くするだけではなく、数字の見易さを犠牲にしないで数字表示装置を小型化しうること、また同じ大きさの数字表示装置においては数字を大きく見易く表示するという作用効果を生ずることは当事者間に争いがない。しかしながら、このような効果は前に述べた円柱レンズの性質を考慮すると、円柱レンズを通して表示体の数字を観察しようとするときには当然予測しうる効果であつて、顕著な効果とはいえない。

(三)  以上のとおり、原告の主張はいずれも失当である。そうすると本件審決には原告の主張するような違法はない。

よつて、原告の請求は理由がないからこれを棄却する。

〔編註〕本願考案の要旨は左のとおりである。

同一の中心軸のまわりに回転可能に軸方向に並べて配置されたほぼ同一直径の複数個の数字車の各周面に縦幅に比して横幅の広い字体の表示用数字を施し、かつこれらの数字車に対する表示窓の位置に円柱レンズをその母線が数字車の中心軸にほぼ平行になるように配置した数字表示装置

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